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「知るより感じる」

2020年 10月 20日 火曜日

みなさん、初めまして。

 

突然ですが、皆さんは今までの人生の中でどのような仕事をしてきましたか?

 

僕はこれまでにベビーシッター、飲食店、引っ越し業者、資格の学校の受付、データ入力、工場勤務、イベント設営、並び屋等さまざまな業種の仕事をしてきました。

 

当時僕は、驚くくらいお金がありませんでした。

いくつもの仕事を掛け持ちしたり、ギリギリカツカツの生活を送っていました。

 

色んな業種の仕事をやっていると、色んな思い出があります。

 

「設営スタッフ」の仕事をしているときは怒号飛び交うイベント会場のビルで、夜の12時から朝にかけてイベントブースの設営をするんです。朝になるとビルの窓から朝日が登ってきてすごいキレイなんですよ。でも朝日って異常に目に沁みるんです。当時の状況もあり、色んな意味で涙が出てきたのを覚えています。

 

「並び屋」という依頼主の代わりにお店の前に並んで順番を確保するという仕事をしているときは、前日の夜からお店の前に並び、アスファルトの上に段ボールを敷いて夜空を眺めながら夜を明かした事もありました。またある日は雪がシンシンと降っており、凍えるような寒さでした。あまりにも寒い為、火を起こすようなスピードで全身をさすっていました。さすりすぎたのでしょう、履いていたジーンズの色が移って真っ白な軍手が青くなっていました。

 

その中でも特に思い出に残っているのは今から5年程前にやった南阿佐ヶ谷にある古民家再生の仕事でした。

友人が「物を押さえたりするだけの簡単な仕事があるんだけどやらない?シフトは自由。一日何時間でも可。日払いも出来るんだけど。」と言って紹介してくれたのがこの仕事でした。

 

これでとりあえずは三度の飯と夜の缶ビールは飲めると心の中でガッツポーズを決め、僕は二つ返事でOKしました。

 

 

話をもらった翌日にはその古民家に向かいました。

築100年、200平方メートルはあろうかという古民家でした。

 

玄関で「すみませーん!!」と声を掛け、待っていました。

色んな仕事していてもやっぱり初日というのは緊張するものです。

一緒に仕事をするのはどんな人なのか、気が合うのだろうか?等色んな事を想像していました。

 

しばらくして依頼主が現れました。

玄関から出てきたのは青い瞳に灰色の髪、ヒュージャックマンに似た身長190センチの大男でした。

その風貌は、ナショナルジオグラフィックで出てくる冒険家のようでした。

 

彼の名は「マーティン」生まれは南アフリカ共和国だが現在はナミビア共和国という国に住んでいて、日本人の奥さんの実家である古民家再生のために日本に来ているというのです。

職業はエンジニアだが、ナミビアではガイドもやっています。しかも5か国語を話すことが出来る。

あまりの情報量に頭が混乱しました。

 

伺うと古民家再生をするのはマーティンと僕の二人だけやるというのです。

この広い古民家をたった二人で・・・。

 

困ったことは他にもありました。

マーティンは5か国語を話すことは出来るが日本語はほとんどしゃべれず、単語を少し知っているくらいと言うのです。

そして僕は日本語以外一切しゃべれないということ。

 

「なんてこったい」思わず口から言葉がこぼれていました。

言語という人間の最大のコミュニケーションツールは封じられ、残るコミュニケーションツールはボディランゲージしか残っていませんでした。

それと自分が知っている限りの英単語。

 

僕は無謀にもこれでマーティンと会話を試みました。

そしてマーティンも知っている限りの日本語の単語でコミュニケーションを図ってくれました。

 

 

前途多難な古民家再生が始まりました。

その後、サウジアラビアの人がお手伝いにきたり、近所の人とトラブルになったりと色々とありましたが、書き出すと果てしなく長くなってしまうので今回は省略させていただきます。

 

古民家再生自体は時間はかかりましたが、なんとか無事に終えることができました。

軒下に潜って電気配線や水道の配管を通したり、屋根裏に上って、天井裏に断熱材を敷き詰めたり、古いお風呂を解体して、新しいお風呂を入れたり、家の壁を作ったりとなかなかハードな仕事でしたが、楽しい思い出です。

 

マーティンとの意思疎通は早くなりましたが、二人とも日本語と英語はまったくうまくなりませんでした。

 

言葉があったらもちろん便利です。

情報の伝達もスムーズで自分が思っていることも伝えやすい。

でも言葉は通じなくても、その人の生き方や考え方を理解出来ることを感じました。

言葉が通じなかったのでその人の情報ではなく、その人の感情や思いをより強く感じることが出来ました。

 

 

この古民家でのマーティンとの出会いは今でも大いに役立っています。

長文、最後までお付き合いいただきありがとうございました。